自己破産後に生活保護は受けられる?逆に生活保護受給中に自己破産はできる?申請の順番や基本情報を解説

2024.10.04
自己破産後に生活保護は受けられる?逆に生活保護受給中に自己破産はできる?申請の順番や基本情報を解説

収入が低いなどの事情で自己破産後の生活に不安がある場合、生活保護の申請はできるのでしょうか。

また、生活保護を受けている場合、自己破産の申し立てはそもそも可能でしょうか。

借金に悩みがある方は、まず借金相談をすることからスタートしましょう。

もしかすると自己破産や生活保護しかない?という考え自体が違っていて、別の選択肢がある可能性があるからです。また、自己破産が妥当な解決方法であると分かった場合でも、弁護士や司法書士といった専門家に相談することで、生活保護との兼ね合いについてもアドバイスがもらえるでしょう。

いきなり相談はちょっとハードルが高い…という方に向けて、今回は、自己破産と生活保護について詳しく解説します。初めての方は、自己破産や生活保護の申請など基本情報を学びましょう。

「どちらを先に申請した方がいいの?」「自己破産のリスクやデメリットとは?」「生活保護を申請できる条件は?」など、疑問に感じる点について紹介します。

次のようなお悩みがあるなら要チェックです。

  • 自己破産してから生活保護で暮らしていきたいけど、そんなことできる?
  • 自己破産と生活保護ってどっちが先?
  • 生活保護を受けていると自己破産ができないって本当?

借金相談する前に知識として持っていると、いざ相談に行ったさいに話がスムーズに進むはずです。詳しく見ていきましょう。

自己破産後、生活保護の申請は可能!それぞれ条件など確認が必須

「完済の見込みない借金について、国が認めた借金救済制度である債務整理の一つである自己破産をすることを決意!でも収入も少なく自己破産後の生活に不安がいっぱい」という方もいるでしょう。「自己破産後、生活保護って受けられるのかな?」と疑問に思いますよね。

結論からお話すると、自己破産後の生活に不安がある場合、生活保護を申請することは可能です。

自己破産とは?返済がなくなるメリットに対して、デメリットはどんなものがあるのかを解説

自己破産は、借金減額が見込める法的な手続き「債務整理」の1つです。借金があり返済能力がない場合、裁判所に申立てることができます。この人には借金返済の能力が乏しいのでこれ以上は返済できない…と裁判所に認められれば免責の許可が降りる可能が高いです。そうなれば、今後の借金の返済は免除=つまり借金がゼロになります。

あなたの借金が自己破産などの債務整理で減額できるかどうか、いくらくらいの減額幅になるのかなどは、借金減額シミュレーターを利用することで、その目安を知ることができます。

メリットは返済がなくなり、借金生活から解放され新たな人生を歩みやすいということです。

自己破産のデメリット

  • ブラックリスト入り
  • クレジットカードが作れない、使えない
  • 新規ローンが組めない
  • 新規ローンが組めない、借金ができない
  • 持ち家や車、貯蓄など一定額以上の財産没収
  • 官報に個人情報が掲載される
  • 手続き中に職業の制限がある

自己破産は、「借金がなしになる」という非常に大きなメリットがある分、それ相応のデメリットやリスクが多くあります。5~10年ブラックリスト入りになり、さらに持ち家や車、預貯金など一定額以上の財産は基本的には没収されます。

生活保護とは?どういった援助を受けられるのかや条件などの基礎知識を解説

生活保護は、経済的に困窮した方を対象に、健康で文化的な最低限の生活を維持できるよう国が定めた経済支援制度です。

最低限の生活ができるよう、さまざまな援助を受けられます。

  • 生活費の支給…衣食住、高熱費など
  • 住宅扶助…科賃、共益費など
  • 医療扶助…病気やケガの治療費、療養費など
  • 教育扶助…給食費、学級費など
  • 介護扶助…介護サービス費用
  • 出産扶助…分娩費用

生活保護を受けるには、条件が定められています。

【生活保護の条件】

  • 家族や親族から経済的な援助を受けられない
  • 収入が少なく生活が苦しい
  • 病気やケガで就労ができない
  • 貯蓄や不動産など財産を持っていない
  • 年金や国の融資を受けられない
お住まいの地域の福祉事務所にて申請ができます。不動産や貴金属品などお金の価値のある物を持っている場合は、売却し生活費に当てることになります。

自己破産後は、財産など没収され、所持できる現金も99万円以下と決まっています。よって、自己破産後も収入が少なく、経済的な援助が必要であれば「生活保護の受給」を検討することになります。

自己破産と生活保護、順番はどっちが先?それぞれメリットがある

自己破産をしてから生活保護の申請は法律的に問題ないことが分かりました。それではその逆はどうなのでしょうか?生活保護受給中は自己破産をすることができるのか?

生活保護を受給しながら、自己破産の申立ては可能です。ただ、「どっちが先の方がいいの?」と迷う方もいるでしょう。そういった方のために、先に自己破産をしてから生活保護を受給するパターンと、先に生活保護を申請し、その後に自己破産をする方法について見ていきましょう。

先に自己破産を行い、その後生活保護を申請する

借金を抱えている場合、先に自己破産をして借金問題を解決した方が精神的に楽になります。場合によってはケースワーカーに、先に自己破産の手続きを促されることもあり得ます。

借金がない状態で、生活保護を申請した方が審査にも影響せず通りやすいと言えます。

先に生活保護を申請し、その後自己破産を申立てる

借金を抱えた状況でも、生活保護の申請は可能です。また生活保護を既に受けている場合でも、自己破産の申立てもできます。

先に生活保護を申請するメリットは、審査をして認められるまで14日間という短期間で生活保護の受給が決定される可能性があることです。

そうなれば、生活の経済的な不安も軽減されます。ですが、借金があるからと言って生活保護費を返済にあてることはできません。

生活保護を受給する時の注意点!借金返済している方は必見

生活保護を受給するには、知っておくべき注意点がいくつかあります。

生活保護費を借金の返済にあてるのはダメ!

先述した通り、生活保護は最低限の生活を送るために支給されるお金なので、借金の返済にあててはいけません。

借金返済にあてていたことがケースワーカーに知られると、生活保護は打ち切りになる可能性が高くなります。

生活保護を隠して借入れをしてはいけない

生活保護を受けている事を隠して、借金をすることも良くありません。申告せず借金をすれば不正受給と同じ扱いになり、生活保護の打ち切り、保護費の返還、罰則などリスクは高まります。

バレなければいいではなく、生活保護を受けているという自覚をしっかり持つことが重要です。

生活保護受給中はお金の使い方に制限がある

生活保護費は、衣食住、子供の教育などにあてるのが目的です。生活保護費を使って、浪費やパチンコなどギャンブルに使うことは良しとされていません。

ギャンブルにのめり込み、借金をしてしまうこともNGです。節度のあるレジャーや娯楽など工夫や心掛けが大切になります。

生活保護を受給しているとローンを組むことができない

子供の教育ローンやカードローンなども組むことができません。返済能力=安定した収入がないとローンの審査が通りません。生活保護費は、収入とは見なされません。

子供の教育を断念せざるを得ない時は、奨学金や親以外の親族を教育ローンの契約者にすれば可能です。

自己破産を検討するなら弁護士など専門家へ相談やケースワーカーとの連携が大切

先に自己破産の手続きをする場合は、自己破産を得意とする弁護士や司法書士事務所へ相談しましょう。申立ての流れや必要な費用など詳しく教えてもらえます。

  • 自己破産の実績多数
  • 相談は何度でも無料
  • 着手金無料
  • 費用の分割払い

事前に上記のような充実したサービスを提供している法律事務所を選べば、費用の心配なくスムーズに手続きができます。

法テラスの民事法律扶助制度の活用すれば、無料相談や費用の立て替えもできます。また、先に生活保護を受けてから自己破産をすると、法テラスの立て替え制度の償還は免除になります。

生活保護受給後はケースワーカーとの関りが重要

生活保護受給についての相談は、お住まいの市や区の福祉事務所しましょう。相談員となるケースワーカーとの情報共有など連携も大切です。

借金を抱えている場合、借金が解決してから生活保護を受けるようすすめられたり、指導されることもあります。生活保護受給後も、親身になって対応してくれます。

  • 悩みや相談を聞き、解決策の提案をしてくれる
  • 受給中、受給停止後の生活の計画や支援をしてくれる
  • 月1回家庭を訪問し、状況の記録をする

生活状況や困り事、体調の変化などないか月1回の家庭訪問をしています。

自己破産をしても生活保護は可能!順番に決まりはなし

自己破産を選択しても、その後の生活に不安があれば生活保護の申請はできます。また、先に生活保護を受けていても自己破産の申立ては可能です。

どちらを先に申請するかは、申請者のその後の生活や意向により決めることができます。場合によっては、自己破産をして借金問題をクリアにしてから生活保護を受けるように指導されることもあります。

自己破産、生活保護ともに条件があります。自己破産は返済が免除になりますが、多くのデメリットを理解しないといけません。生活保護も、受給中の生活やお金の使い方など気をつける点は多くあります。

自己破産に関する相談は弁護士など専門家、生活保護に関する相談はケースワーカーなどそれぞれ適正なアドバイスを受けましょう。